山にのぼる 黒木郁朝さんの版画です。我が家の玄関で、毎日見てから家を出ます。



2012年5月13日日曜日

研修報告:自傷行為の理解と援助

平成24年5月13日、総合保険センターにての研修。
講演は国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の松本俊彦先生

医師、保健師、看護師、教育関係者が集まりました。

内容は分かりやすく、また、支援専門職者に対して、正しい理解を教えてくださいました。
今日はその中でのメモを。
まず第一のインパクト。
「薬物とか依存症、自傷行為をする子に対して『そんなことしちゃだめじゃないか』と言っても、返ってくる言葉は『誰にも迷惑かけていない。自分の体なんだからいいじゃないか』」
たしかにそうだ。
「そこで命の尊さとか、ダメ絶対的なことを言っても伝わらない。一番伝えたい人に対して伝わらない授業、関わりをしていないでしょうか。」
確かに、たしかにそうだ。

①自傷行為と自殺行為の区別
自殺行為は自殺を目的としているが、自傷行為は死ぬことを目的にしているとはいえない。

②なぜ、自傷行為をするのか
世間では、「アピールだ」などという意見もあるが、アンケート等の調査結果では、何らかのしんどさを抱えた状態で、そのしんどさ(心の苦痛)を軽減させるために自傷行為をしていることが多い。
自傷行為を行うと、脳内麻薬が分泌して、安心を得ることができる。
だから、自分を傷つけるという行為自体ではなく、その行為の背景に焦点を当て、そうやって頑張って生きていることを認めることが大事。

③自傷行為をする人の特徴
年齢からすると、11歳~13歳という思春期の初めに始めることが多い。
また、タバコや飲酒、セックスなどを早期に体験している傾向がある。
あと、自尊心が非常に低いこと、大人を信用していないことなどが傾向としてあるという。

④自傷行為から自殺への危険
自傷行為を繰り返していくと、脳内麻薬が出にくくなり、より深く、より致命的な自傷へ走ってしまうことがある。その危険性に注意しなければいけない。

⑤自傷行為をする子への関わり
自傷行為をする子どもは大人を信用しておらず、自分のしんどさを話そうとしない。自傷行為後の消毒自体も拒否する場合も多い。そのような子どもが保健室や相談場面に来たときには、「何でそんなことをしたのか」「しないことを約束して」といったことはNG.
さりげなくでも、消毒に来たこと、相談に来たことを評価し、これまでよく頑張ってこれたことを認めること、そして、なにかあった時に相談に来てもらう信頼を得ることが大事。

⑥自分の限界、親への連絡
だからといって、46時中の関わりは困難。自分の時間の範囲内を伝え、範囲外であれば、その後に教えて欲しいことを伝えるよう。また、両親にも伝えることの了解を得る必要もあるだろう。その場合、親に対して、「この子特有のしんどさを抱いており、それを対処しようと自傷行為をしていること」「叱責したり、非難すること、無視することは子どもにとって否定されることにつながること。」「定期的なカウンセリングを行うとともに、家族の協力が必要であること」などを伝えながら、両者の協力を得ていく必要がある。

⑦存在を認めること
まずは、しんどさを抱えた当事者がいること、ここに相談にきていることを承認することがとても重要。そこから、問題解決に向けて取り組んでいかないといけないでしょう。

マサチューセッツ州では、学校のメンタルヘルス教育で、「気づき」「関わり」「つなげる」ことをDVD教材にして、自傷行為について、また、相談を受けたときについてなどを教えているそうです。

ちょっとむずがゆい感覚をもちながら話を聞いていましたが、とてもうなずける話でよかったです。
友達の存在、その大きさなどを話されており、つながりの大切さなどを改めて学びました。

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